株式会社スタジオグラム

Maison Margiela / メゾン マルジェラ


ブランド名

「Maison Margiela」(メゾン マルジェラ)

 

ロゴマーク

 

 

 

 

企業情報

 

・業種
ファッションブランド

 

・設立年
1988年、パリにて「メゾン マルタン マルジェラ」設立。
2015年1月、メゾン マルジェラに改名。

 

・本拠地
フランス

 

ロゴマークコンセプト

 

ブランドではなくその服自体に価値を見出して欲しい。

人はブランドに踊らされていないか?

「ブランド名で選んだのではなく、その服の良さに惹かれて選んだのであれば、ラベルなどいらないだろう」という思い。

が、おそらく込められている。

 

ブランドの読み解き

 

Maison Margielaは1988年に設立されたフランス・パリ発のファッションブランド。
デザインの方向性としては「反モード」。

 

既製服を脱構築・再構想・再定義することで新しい服の概念を次々と生み出しました。
足袋ブーツや8の字ライダースなどで有名ですが、何と言っても、古着をリメイク、解体して繋ぎ合わせる「再構築」アイテムをムーブメントしたブランドとしても知られています。

 

ファッションの歴史に名を残すブランドですが、その存在はとてもミステリアス。
宣伝しない、雑誌インタビューもFAXで質疑応答するなど、その匿名性を徹底しています。

 

そんなMaison Margiela。
デザイナーの視点で紐解いていこうと思います。

 

服そのものの存在、価値を問う服

 

あなたは何のために服を着ますか?
日々、過ごしやすく生きるため。気分を上げるため。モテたいから。

では買う時、服のどこを見て選びますか?
デザインや肌触りが良いから。色が素敵だから。このブランドだから。

 

人がなぜそれを着ているか。
そんな本質に迫るブランドがMaison Margielaです。
哲学的で、実験的かつ革新的、ある種とても人間味を感じるブランドなので僕は大好きです。(高くてまだ手が出せませんけど)

 

白い布、カレンダータグと4ステッチのシンボル

 

Maison Margielaのひとつ大きなシンボルとして、カレンダータグと4つのステッチが挙げられます。

白い木綿の布に何やら数字が羅列しているタグ。
カレンダーに似ていることからカレンダータグと呼ばれています。
その数字、番号はレディース服、メンズ服、アクセサリー、シューズなどのラインを示すためのものです。
◯で囲まれた番号がその服のラインを表します。番号自体に意味はありません。

 

 

0 – 手仕事により、フォルムをつくり直した女性のための服
0 10 – 手仕事により、フォルムをつくり直した男性のための服
1 – 女性のためのコレクション(ラベルは無地で白)
4 – 女性のためのワードローブ
3 – フレグランスのコレクション
8 – アイウェアのコレクション
10 – 男性のためのコレクション
14 – 男性のためのワードローブ
11 – 女性と男性のためのアクセサリーコレクション
12 – ファインジュエリーのコレクション
13 – オブジェ、または出版物
22 – 女性と男性のための靴のコレクション
MM6 – ♀のための服

 

 

ブランドファッションで氾濫するロゴに対してアンチテーゼとしての存在感もあるMaison Margiela。

 

カレンダータグは白い糸の4つのステッチで仮止めされているのですが、簡単に外すことができます。
創立者のマルタン・マルジェラが“この服はブランドという価値を取り除いても本当に価値のある服なのか”ということを思考しました。
そして、考え抜いた結果のアプローチにより生まれたものがこの方法 です。

 

なので熱烈なマルタン・マルジェラのファンの中には、4ステッチを切って着用している方もいるのだとか。思い切りがいいですね。
ですが今はブランドが浸透し、このカレンダータグと4ステッチがある意味ロゴマークのようなものになっています。

 

なぜMargielaは、とがり続けれるのか

 

Margielaの良さはやはり、コンセプチュアルなデザインにあると思います。

まさに、既製服の脱構築・再構想・再定義を行うところにMargielaの魅力があります。「服」とは何か。
問答を繰り返し、究極の普遍を追い求める姿勢
は、とてもパワーがあり、そこに人々は惹きつけられます。

 

実はこのMargielaという組織、2009年からのコレクションにマルタン・マルジェラは関わっていません。
メゾンとして、集団として作品を発表していたのです。

 

そしてMaison Martin Margielaは2015年ジョン・ガリアーノの就任を経て、Maison Margielaに改名しました。
おそらくこの境目でMargielaというブランドは全く別のものに変わったことでしょう。

 

それが吉と出たのかは分かりませんが、実際今日のMaison Margielaはまた別の輝きを持って歩みだしました。
ファッションデザイン業界というのはまた特殊で、僕の想像が及ばないほど複雑で難しい世界だと思います。
ブランドも変革、再構築が必要だったのかもしれません。

 

Margielaを最近認知した自分としてはいずれにせよ、
マルタン・マルジェラの率いるMargielaをぜひリアルタイムで眺めてみたかったものです。

 

Margielaと無印は少し似ている

 

Margielaはどこか無印良品と似ている気がします。

それは匿名性、アノニマス的ブランドという点から感じた類似点かもしれません。
いやそれだけでは違います。何より、ネームバリューという虚飾を取り除き、人と商品のより良い関係を築かんとするその姿勢が似ています。
匿名性の一番のメリット、それは本質が浮き彫りとなることだと思います。
うまく言語化できませんが、おそらくそこには究極の「普通」が存在しています。

 

先の文とは矛盾しているかもしれませんが、ブランドの特性として、ネームバリューから逃れることはできません。
マルタン・マルジェラの影の立役者 ジェニー・メイレンスとは The Woman Behind Martin Margielaで述べられている通り、白タグはあくまで演出に過ぎないのかもしれません。

 

しかし、Margielaの匿名性は、自由で革新的なクリエイティブな表現を可能にしました。

 

何かひとつ欠けることが却って、新たな創造を生む。
Margielaから得ることのできる知見でしょうか。

ちいさい会社がブランドをつくるなら、
デザインは今すぐ捨てなさい。

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