Brand Design lab.
ブランドデザイン研究所
経営者が語るべき「創業ストーリー」の作り方
Type Something
2026/5/23

「創業のきっかけですか?特にドラマチックな話はないんですよ。ただ、目の前の仕事を一生懸命やってきただけで」
そう謙遜される経営者の方に、私たちは数多くお会いしてきました。しかし、詳しくお話をうかがっていくと、そこには必ずと言っていいほど、その方らしい判断や、忘れられない出来事が眠っています。ただ、ご本人にとっては当たり前すぎて、それが「語るべきストーリー」だと気づいていないだけなのです。
今日は、なぜ創業ストーリーを語ることが大切なのか、そしてどうやってそのストーリーを見つけ、形にしていけばいいのかをお伝えします。
なぜ、創業ストーリーが大切なのか
会社の実績や技術力といった情報は、機能的価値、つまり頭で理解する価値です。一方、創業ストーリーが伝えるのは、情緒的価値、つまり心で理解する価値です。「なぜこの事業を始めたのか」「どんな困難を乗り越えてきたのか」という物語は、他社には決してコピーできない、その会社だけの独自情報です。
お客様が最終的に「この会社にお願いしよう」と決める場面では、価格や実績の比較だけでなく、「この会社の考え方に共感できるか」というエシカルな感覚が大きく影響します。創業ストーリーは、その共感をつくる、もっとも直接的な手段のひとつです。
創業ストーリーを見つける、3つの質問
「特別な話はない」と感じている経営者の方にこそ、次の3つの質問を自分に投げかけてみていただきたいと思います。
1. なぜ、その事業を選んだのか
数ある選択肢の中で、なぜ他の仕事ではなく、この事業を選んだのでしょうか。そこには、家族の影響だったり、以前の職場での経験だったり、何かしらの原点があるはずです。
2. 一番苦しかった時期に、何を支えにしていたか
経営を続けていれば、誰しも苦しい時期を経験しているはずです。資金繰りに悩んだ時期、大きな失敗をした経験、それでも事業を続けようと思えた理由は何だったのか。この部分にこそ、その会社らしさが色濃く表れます。
3. お客様から言われて、一番うれしかった言葉は何か
これまでの中で、特に印象に残っているお客様からの言葉はないでしょうか。その言葉は、会社が本当に大切にしている価値観を映し出していることが多く、ストーリーの核になり得ます。
ストーリーは「盛る」ものではなく「掘る」もの
創業ストーリーというと、つい特別な出来事を探そうとしたり、少し大げさに語ろうとしたりしてしまいがちです。しかし、私たちが大切にしているのは、事実を誇張することではなく、すでにある事実の中から、伝えるべき部分を丁寧に「掘り起こす」という姿勢です。
経営者ご自身にとっては当たり前すぎて見過ごしている出来事の中にこそ、お客様の心を動かす物語が眠っています。だからこそ、私たちがヒアリングをする際も、経営者の方に一方的に話していただくのではなく、対話をしながら「それは、なぜですか」「そのとき、どう感じましたか」と、少しずつ深掘りしていくことを大切にしています。
この対話の中で自然に言葉を引き出す方法は、[経営者インタビュー動画が信用をつくる理由]の制作でも同じように活かされています。
ストーリーを語る、絶好のタイミング
創業ストーリーは、いつでも語れるものですが、特に効果的に伝わるタイミングがあります。そのひとつが、創業から一定の周年を迎えるときです。10周年、20周年といった節目は、これまでの歩みを振り返り、あらためて創業の想いを社内外に発信する絶好の機会になります。
周年のタイミングでのブランディングについては[創業〇〇周年はブランディングの好機|周年行事の活かし方]で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
見つけたストーリーを、どう形にするか
創業ストーリーを見つけたら、次はそれを言葉として整理し、ホームページや会社案内、採用ページなどに落とし込んでいく作業が必要になります。この、会社の「らしさ」を言語化する作業全般については[ブランドストーリーとは?会社の「らしさ」を言語化する方法]でより詳しくお伝えしていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
創業ストーリーは、特別な経営者だけが持っているものではありません。どんな会社にも、掘り起こせば必ず語るべき物語があります。まずは、「なぜ、その事業を選んだのか」という一番シンプルな問いから、あらためて自分自身に向き合ってみてください。
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この記事を書いた人
早野 悠
Hayano Yu

株式会社スタジオグラム 代表取締役
ブランドマネージャー認定協会トレーナー
コミュニケーションノイズを無くし、争いのない社会を目指してブランディングに取り組んでいます。福岡市を拠点に、3ステップでつくるブランディング×マーケティング手法で述べ60社をお手伝いしてきました。
好きな言葉:知足/縁起
好きなこと:国内海外旅行/写真/温泉/散歩
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