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コナズ珈琲:「いちばん近いハワイ」が教えてくれるブランド体験の設計

Brand Design lab.

ブランドデザイン研究所

コナズ珈琲:「いちばん近いハワイ」が教えてくれるブランド体験の設計

ブランドを読み解く

2026/8/26

こんにちは、スタジオグラムです。

あなたの近くに「コナズ珈琲」はありますか? 黄色い外壁にトロピカルな植物が飾られ、店内に一歩入るとハワイのローカルカフェにいるような気分になれる、カフェレストランです。

2013年に埼玉県ふじみ野市で産声を上げたこのブランドは、2026年7月時点で全国56店舗まで拡大し、「3時間待ちでも行きたい」と言われるほどの人気を誇っています。

なぜこれほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。ブランドデザインの視点でコナズ珈琲を読み解いてみました。調べていく中で、私たちにとっても多くの学びがありました。

コナズ珈琲とは?

コナズ珈琲は、「いちばん近いハワイ」をコンセプトに掲げるハワイアンカフェ・レストランです。丸亀製麺で知られるトリドールホールディングスが2013年に立ち上げ、2023年には「株式会社KONA'S」として独立分社化しました。

メニューはふわふわのハンドメイドパンケーキ、ハワイアン料理、自家焙煎コーヒーが中心です。単なる飲食店ではなく、ハワイの空気感ごと日本に持ち込むことを目指した「体験型ブランド」として設計されているのが大きな特徴です。

ブランドデザインの視点で読み解く

誰に向けたブランドか:「日常を離れたい人」のためのサードプレイス

コナズ珈琲が向き合うのは、「ハワイに行きたいけれど、なかなか行けない」という、多くの日本人が日常的に抱える感情です。特別な旅行ではなく、ちょっとした外出で非日常を感じたい。

そういった20代から40代の女性やファミリー層を中心とした都市生活者が、主なターゲットとして想定されています。

注目したいのは「サードプレイス」としての設計思想です。自宅でも職場でもない、第三の居場所。この概念を広く普及させたブランドの一つがスターバックスですが、スターバックスのブランド戦略でも詳しく読み解いたように、空間体験を軸に据えることで、コーヒー1杯の価格競争から抜け出すことができます。

コナズ珈琲もまた、同じ構造でブランドを成立させながら、そこにさらに「ハワイ」というテーマを重ねることで独自性を確立しています。

私たちがブランディングの相談を受ける際、「うちは特別な商品がない」とおっしゃる経営者の方に出会うことがあります。しかしコナズ珈琲が教えてくれるのは、「誰に・何を感じさせるか」が明確であれば、それ自体が力強い差別化になるということです。

コンセプトの明確さが、ブランドを商品の外側から守ってくれます。

ロゴ・カラー・タイポグラフィ:カラフルさが「ハワイ感」を語る

コナズ珈琲のビジュアルで最初に目を引くのは、黄色がかった外壁と豊かなグリーンの植物です。ロゴは「Kona's Coffee」の文字と緑色のアクセントで構成され、どこかアメリカンなフォントの温かみを持っています。

日本のカフェに多い「洗練された単色ミニマルデザイン」とは対極にある、賑やかで人懐っこい表現です。

店内に入るとさらにカラフルです。柄物のオリジナルファブリック、職人の手による木製家具、サーフボードのオブジェ。ひとつひとつの要素が積み重なって「ハワイのローカルなリビング」という空間をつくり上げています。

特筆すべきは、全店舗で同じ内装の店を一つもつくらないという戦略です。通常のチェーン店は店舗を均一に設計してコストを抑えますが、コナズ珈琲はあえて店舗ごとに異なるデザインを採用しています。

均一化しないことで、「あの店舗に行きたい」という個別の動機を生み出しているのです。これはフランチャイズ展開においてブランド体験の質を守るための、意図的な非効率化といえます。

ブランドの一貫性を守りながら、個性を失わない。その両立が、訪れるたびに新鮮な発見を与えてくれます。

コンセプト・メッセージ・ブランドアイデンティティ:ALOHAの精神を企業文化に

コナズ珈琲のブランドアイデンティティは、ハワイの言葉「ALOHA」です。思いやり、協調性、心地よさ、謙虚さ、忍耐。この5つの要素をスタッフの行動規範として落とし込んでいます。

「おもてなし」という言葉は多くの飲食店が使いますが、コナズ珈琲はそれをハワイという文化的なコンテキストに結びつけることで、独自の言語と世界観に昇華させています。

コナズ珈琲の体験設計は、接客の姿勢・店舗の空間デザイン・料理へのこだわりという3つの要素が一つの方向を向くよう組み立てられています。そのため、顧客が感じる体験にブレがありません。

どれか一つが欠けても、「ハワイにいる感覚」は生まれないのです。

私たちはクライアントのブランディングを支援する際、「ブランドは社内に浸透して初めて機能する」とお伝えしています。コナズ珈琲のALOHA精神の体現は、まさにその実例です。

スタッフ一人ひとりがブランドの語り手となることで、広告に頼らない口コミが自然に生まれます。ブランドを「外に伝える」前に、まず「内側に根づかせる」という順序が大切です。

顧客接点の設計:「回転させない」という逆張り戦略

飲食業では、席の回転率を上げることが売上向上の基本とされています。しかしコナズ珈琲は、時間制限を設けないという方針を一貫して貫いています。

ゆっくり過ごせる居心地の良さが評判を呼び、「また行きたい」「友人を連れて行きたい」というリピートと口コミにつながっています。

この「非効率を戦略的に選ぶ」という姿勢は、短期的な売上よりも長期的なブランド資産の形成を優先する考え方です。待ち時間が生まれるほどの人気が、逆に「行列ができる店」というブランドイメージを強化するというプラスの循環も起きています。

また、「SNS映え」という観点でも店舗設計が優れています。カラフルな空間、フォトジェニックなパンケーキ、ハワイアン雑貨に囲まれた非日常感。

顧客が自発的に写真を撮って発信したくなる設計が、広告費をかけずにブランド認知を広げる仕組みになっています。顧客体験そのものがコンテンツになる構造は、今の時代のブランドにとって非常に重要な視点です。

このブランドから中小企業が学べること

今回コナズ珈琲の事例を調べていく中で、私たちも改めて気づかされたことがあります。それは「ブランドとは、コンセプトの一貫した実装である」ということです。

コナズ珈琲は「いちばん近いハワイ」という一文に、接客・空間・メニュー・営業方針のすべてを紐づけています。何か一つだけを整えても、この体験は生まれません。

看板だけハワイアン風にして、接客はバラバラ、内装も普通、では誰もハワイを感じることはできないからです。

中小企業の経営者の方に伝えたいのは、「ブランドの統一」は大企業だけの話ではないということです。むしろ小規模だからこそ、社内の隅々までコンセプトを行き渡らせやすい環境にあります。

経営者自身がブランドの体現者となり、スタッフにそれを伝えていく。その積み重ねが、広告では買えない「信頼」と「ファン」を着実に生み出します。

また、コナズ珈琲が貫く「店舗ごとに異なるデザイン」という姿勢が示すように、均一化ではなく個性の演出が差別化になることもあります。地域の個店だからこそできる、オリジナルの空間づくりや体験の設計に、チャンスが隠れているかもしれません。

あなたの会社では、どんな「体験」を提供できていますか?

出典

みつける つくる そだてる
お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。

・ブランドって何?

・マーケティングとどう違うの?

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この記事を書いた人

早野 悠

Hayano Yu

株式会社スタジオグラム 代表取締役
ブランドマネージャー認定協会トレーナー

コミュニケーションノイズを無くし、争いのない社会を目指してブランディングに取り組んでいます。福岡市を拠点に、3ステップでつくるブランディング×マーケティング手法で述べ60社をお手伝いしてきました。

好きな言葉:知足/縁起 
好きなこと:国内海外旅行/写真/温泉/散歩

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