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OWNDAYS(オンデーズ)— 「いい顔になろう。」に込められたブランド再生の物語

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OWNDAYS(オンデーズ)— 「いい顔になろう。」に込められたブランド再生の物語

Type Something

2026/7/28

こんにちは、スタジオグラムです。

街のショッピングモールで「OWNDAYS」の看板を見かけることが増えたと感じませんか?
白と黒のシンプルな空間、価格の明朗さ、そしてスタイリッシュなフレームの数々。


2024年にロゴとタグラインを一新したOWNDAYSは、眼鏡業界のなかで際立つブランド戦略を実行しています。

今回はこの事例を一緒に読み解きながら、ブランドデザインとは何かを改めて考えてみたいと思います。
調べていく中で、私たちにとっても多くの学びがありました。

OWNDAYSとは?

OWNDAYSは1989年に設立された眼鏡の製造・小売チェーンです。
しかし今日の姿を作り上げたのは、創業者ではなく再建者でした。
2008年、当時30歳だった田中修治氏が約14億円の負債を抱えて倒産寸前にあった同社を個人で買収し、代表取締役に就任。

「破天荒フェニックス」と呼ばれるほど劇的な再生を果たしました。
現在はアジアを中心に13ヵ国・地域へ進出し、560店舗以上を展開するグローバルブランドへと成長しています。
日本国内でも福岡をはじめ全国に店舗を持ち、約1,500名のスタッフが働いています。

ブランドデザインの視点で読み解く

視点1:誰に向けたブランドか

OWNDAYSがターゲットとしているのは、眼鏡を「医療器具」としてではなく「ライフスタイルアイテム」として捉える層です。
同社のマーケティング部長・鳥居長英氏は「ニーズや好みに合わせたプロダクトを開発して、顧客に寄り添った商品を幅広い価格レンジで打ち出していきたい」と語っています。
高年齢層は眼鏡を視力補正の道具と見なしがちですが、若い世代や30〜40代のライフスタイル志向層は眼鏡を自己表現の一部として選びます。

OWNDAYSが狙うのは後者、あるいは後者への意識変革です。
2024年のリブランディングで掲げた方向性は「ファストファッションからの脱却」でした。
安くて手軽なだけでなく、自分らしさを引き出す体験を提供するブランドへの転換です。

ここで私たちがお手伝いする福岡の中小企業の事例を思い出します。
ある食品会社のオーナーが「うちは価格で勝負している」とおっしゃっていましたが、ヒアリングを重ねると実際には「素材へのこだわりと産地への誠実さ」が強みでした。
価格訴求だけでは伝わらないその価値を、ブランドとして言語化・視覚化することで、顧客層が変わり単価も上がりました。

OWNDAYSが「安い眼鏡屋」から「自分らしさを引き出す眼鏡ブランド」へと転換を図っているのは、同じ原理です。
顧客を定義し直すことで、ブランドの意味が変わります。

視点2:ロゴ・カラー・タイポグラフィ

2024年7月の刷新は、2008年以来16年ぶりの大規模なロゴ変更でした。
新ロゴが採用したモチーフは「スイッチのON/OFF」です。
「OWNDAYSの商品やサービスが、世界中のお客様にとって最高の自分を引き出すスイッチとなる」というステートメントが、そのままロゴの造形に結びついています。

ブランド名に「ON」という音が含まれていることも、このモチーフ選択の必然性を高めています。
言葉の意味とビジュアルの形が呼応するとき、ロゴは記号以上の力を持ちます。

カラーは黒と白の二色を踏襲しました。
この選択には深い意図があります。
「OWNDAYSの創出する空間に色をつけるのは商品と人だけである」という考え方です。
店舗空間をモノクロに保つことで、フレームの色と着用する人の個性が際立つ設計になっています。

これはブランドが自己主張しすぎず、顧客を主役に置く姿勢の表れです。
タイポグラフィもサンセリフ体で統一され、シンプルかつ国際的な印象を維持しています。
アルファベット表記への一本化はグローバル展開を見据えた判断で、日本語名「オンデーズ」を前面に出さない方針が一貫しています。

視点3:コンセプト・メッセージ・ブランドアイデンティティ

OWNDAYSのブランドアイデンティティは「OWNDAYSに関わるすべての人を豊かにする」という企業理念にあります。
顧客だけでなく、スタッフ、取引先、地域社会まで含めた「関わるすべての人」を豊かにするという視野の広さが特徴です。
タグライン「OWN 'your' DAYS」はこの理念を顧客向けに翻訳したものです。

「誰かの物語を生きるのではなく、自分自身が物語の主役になる」という宣言は、眼鏡という商品をはるかに超えた価値観を語っています。
そして2024年11月から展開するコピー「いい顔になろう。」は、このメッセージをより感情に寄り添う言葉で伝えています。

私たちがブランド構築でいつも大切にしていることがあります。
デザインは見た目ではなく、コミュニケーション手段だということです。
OWNDAYSのケースはまさにそれを体現しています。

ロゴに「スイッチ」を採用したのは、かっこいいからではありません。
「最高の自分を引き出す」というブランドの役割をビジュアルで語るためです。
タグラインを「OWN 'your' DAYS」にしたのも、語感がいいからではなく、「自分の時間を主体的に生きる」という価値観を一言に凝縮するためです。
コンセプトが先にあり、デザインはその翻訳として機能しています。

視点4:顧客接点の設計

OWNDAYSのブランド体験は、複数の接点で一貫したメッセージを届けています。
まず店舗空間では、黒と白のモノクロを基調とすることで「空間の引き算」を実現しています。
余白のある空間が商品と人を際立たせ、ゆっくりと選ぶ体験を生み出しています。

価格設定では「レンズ追加料金ゼロ」という方針を2012年から一貫して守り続けています。
2024年には遠近両用レンズにもこの方針を拡大しました。
この透明性はブランドの誠実さを日々の購買行動で体感させる仕組みです。

CMではモデルの松田龍平氏を起用し、「いい顔になろう。」というコピーを「証明写真」「結婚式」「お買い物」という生活の場面で表現しました。
眼鏡をかけることで自信が生まれ、日々がポジティブになるというメッセージを、生活の文脈に落とし込んでいます。
グローバル展開においても、アルファベット統一のロゴと黒白の空間デザインによって、日本、シンガポール、オーストラリア、UAEのどの店舗でも同じブランド体験が提供されます。

ブランドの一貫性は、ひとつのコミュニケーションではなく、すべての接点が同じ方向を向くことで生まれます。

このブランドから中小企業が学べること

今回OWNDAYSの事例を調べていく中で、私たちも改めて気づかされたことがあります。
それは、ブランドの再定義とは「何を新しくするか」よりも「何を守るか」を先に決める作業だということです。
黒と白という16年間の資産を手放さずに、そこに「スイッチ」という新しい意味を乗せたOWNDAYSの判断は、私たちが日頃クライアントと向き合う中でも繰り返し直面する問いと重なりました。

この事例が示す最大の学びは、「何を売るか」よりも「どんな価値観を体現するか」がブランドの核心だということです。
眼鏡という商品は変わっていません。
しかし「誰かの物語ではなく、自分の物語を生きる」というメッセージを掲げることで、眼鏡が自己表現のパートナーになります。

価格や品質だけで勝負しようとすると必ず限界が来ます。
競合も同じように価格を下げ、品質を上げてきます。
そのとき差を生むのは、顧客が「このブランドの考え方が好きだ」と感じられるかどうかです。

あなたの会社には、長年守ってきた「変えるべきでないもの」と、時代に合わせて「更新すべきもの」が、それぞれどのくらいありますか?

出典

みつける つくる そだてる
お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。

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この記事を書いた人

早野 悠

Hayano Yu

株式会社スタジオグラム 代表取締役
ブランドマネージャー認定協会トレーナー

コミュニケーションノイズを無くし、争いのない社会を目指してブランディングに取り組んでいます。福岡市を拠点に、3ステップでつくるブランディング×マーケティング手法で述べ60社をお手伝いしてきました。

好きな言葉:知足/縁起 
好きなこと:国内海外旅行/写真/温泉/散歩

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