Brand Design lab.
ブランドデザイン研究所
その瞬間にしか撮れない写真が、会社の「これから」を変える話。
ブランドづくりの方程式
池のほとりに、100人を超えるスタッフが集まりました。
曇り空でも、緑はやわらかく輝いていて。全員が手で企業名のイニシャルをつくって、カメラ目線で笑っている。その写真を見たとき、胸のどこかがじんとしました。
ある会社の50周年に合わせて撮影した集合写真です。創業から50年、半世紀の節目を迎えるにあたって、スタジオグラムに周年行事の全体プロデュースご相談をいただきました。
この記事を読んでいるあなたは、もしかしたら「周年行事をどう活かせばいいのか、まだぼんやりしている」という経営者の方かもしれません。そんなあなたに、この一枚の写真が教えてくれたことをお伝えしたいと思います。

集合写真は「物語」。
集合写真というと、どんなイメージがありますか?
年賀状の一枚
研修の記念
社内報のコーナー
どこか「記録」として扱われてきたもの、という感覚がある方も多いと思います。でも、私たちはこう思います。集合写真は、物語です。
100人がそこに立っているということは、100人がその会社を選んで、今日もそこで働いているということ。それぞれに生活があって、家族がいて、夢があって。その全員が「この会社のために」と集まれる。そのこと自体が、すでに一つのドラマです。
50年という歳月の中で、この会社はどれだけの人と出会ってきたでしょうか。何人の社員が入り、何人が巣立っていったか。どれほどの取引先と信頼を積み上げてきたか。その重みが、一枚の写真の中に静かに宿る。写真は「その日を生きた人たちの、生きた証」。
「その瞬間」は、二度と来ない
撮影当日、池のほとりに全員が集合するまで、少し時間がかかりました。部署ごとに声をかけ、外回りから戻ったスタッフを待ち、遠方から駆けつけてくれた方もいた。それでも全員がそろって、一斉にカメラを向いたその瞬間の空気は、言葉にするのが難しいほど特別でした。
少し肌寒い春の午後。池の水面が静かに揺れていて。カメラマンの「せーの」に合わせてみんなで手文字をつくって笑った。
その瞬間は、もう二度と来ません。今後新しく入社する仲間も増えるでしょう。体制が変わることもあるかもしれない。この100人が、この場所に、この空気の中で一緒にいられる瞬間は、今日しかない。
だから、撮りましょう。周年行事の集合写真が持つ力は、「この会社の今」を永遠に残すことができること。その一枚は、10年後、20年後に見返したとき、きっとみんなの心に響くものになるはずです。
ブランドは、「外向け」だけではない
経営者の方と話していると、ブランディングというと「ロゴを変える」「ホームページをリニューアルする」というイメージを持たれていることが多いです。もちろん、それも大切なことです。でも、本当のブランドは、もっと内側から育つものだと私たちは考えています。
「自分たちはどんな会社なのか」「何を大切にして、どこへ向かっているのか」そのことを、社員一人ひとりが理解して、誇りを持って語れるようになること。これが、ブランドの本質です。
50周年という節目に、全社員が一堂に会して写真を撮る。その行為は、単なるイベントの演出ではありません。「私たちはここにいる」「この会社を一緒につくっている」という共通の記憶を、全員の中に刻む行為なのです。集合写真は、対外的なPR素材である前に、社内のブランド体験そのものです。
「なんとなく節目だから」から「意味のある転換点」へ
創業30周年、40周年、50周年。多くの会社が、節目の年に何かしらの行事を行います。パーティーを開いたり、記念品をつくったり、OBを招いたり。それ自体はとても素晴らしいことです。
でも、少しだけ立ち止まって考えてほしいのです。その行事は、終わったあとに何かを残せていますか?お客様の記憶に、残っていますか? 社員の誇りに、つながっていますか? 次の10年への、布石になっていますか?
周年行事は、「過去を祝う場」であると同時に、
「未来へのブランド宣言」にもなり得る。
そのためには、仕掛けが必要です。何をどう発信するか、どんな写真を残すか、どんなストーリーで語るか。その設計こそが、ブランドデザインの仕事です。
一枚の写真が、採用を変え、取引を変える
この集合写真は、撮ったあとにどう使われるのでしょうか。祝賀会の会場に飾られる。ホームページに掲載される。社史に収められる。採用ページに使われる。取引先への挨拶状に添えられる。
一枚の写真が、様々な場面で「この会社」を伝える素材になります。そのとき、写真の質と、写真に込められた意図が、受け取る人の印象を大きく変えます。「なんか人がたくさんいるな」で終わる写真か、それとも「この会社、いい雰囲気だな。働いてみたいな」「この会社と付き合ってよかったな」と思わせる写真。
その差は、撮り方だけではなく、そこに至るまでの設計にあります。どんな場所で、どんな服装で、どんな表情で、どんな想いを込めて撮るか。それを丁寧に考えることが、写真をブランド資産に変えるのです。
最後に——「今」を大切にする会社だけが、次の50年をつくれる
池のほとりの集合写真を、もう一度思い浮かべてください。100人を超えるスタッフが、寒い春の午後に外に出て、ちょっと照れくさそうに手文字を作って笑っている。その写真を見たとき、私はこう思いました。
この会社は、素晴らしい。50年間、人を大切にしてきたから、こんなに人が集まれる。これからも、その積み重ねが続いていく。
あなたの会社にも、きっと同じものがあるはずです。長年かけて育ててきた信頼。一緒に乗り越えてきた苦労。笑い合った記憶。それらは全部、ブランドの種です。周年行事は、その種を形にする、最高のタイミングです。
「何かをはじめなければ」という感覚があるなら、その直感は正しいと思います。ただ、何からはじめていいかわからないなら、まずは「今の自分たちを、ちゃんと残す」ことからはじめてみてください。その一枚が、次の50年の出発点になるかもしれません。
みつける つくる そだてる
お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。

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この記事を書いた人
早野 悠
Hayano Yu

株式会社スタジオグラム 代表取締役
ブランドマネージャー認定協会トレーナー
コミュニケーションノイズを無くし、争いのない社会を目指してブランディングに取り組んでいます。福岡市を拠点に、3ステップでつくるブランディング×マーケティング手法で述べ60社をお手伝いしてきました。
好きな言葉:知足/縁起
好きなこと:国内海外旅行/写真/温泉/散歩
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