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一風堂 — 博多の小さな一軒のラーメン屋が、なぜIPPUDOとして世界に出ていけたのか

Brand Design lab.

ブランドデザイン研究所

一風堂 — 博多の小さな一軒のラーメン屋が、なぜIPPUDOとして世界に出ていけたのか

Type Something

2026/7/14

こんにちは、スタジオグラムです。

福岡市中央区・大名の一角に佇む一軒のラーメン屋「博多 一風堂」
福岡に住む方なら、一度は前を通ったことがあるのではないでしょうか。

一風堂は1985年、その大名の小さな一軒のラーメン屋から始まりました。今ではニューヨークやロンドンにも店を構え、海外で行列ができる日本ラーメンの代名詞のひとつです。

一軒の店の味が、なぜ国境を越えて伝わったのか。
今日はこの理由を一緒に読み解いていきたいと思います。

一風堂とは?

一風堂は1985年10月、当時33歳の河原成美が福岡市中央区大名に開いた一軒のラーメン店です。

それ以前にレストランバーの経営を経験し、博多の屋台で約1年間ラーメンづくりの修業を積んだうえで、「怖い・汚い・臭い」と言われていたラーメン屋のイメージを、女性が一人でも入れる食堂へと引き上げようとしたのが創業の発想でした。

店内・メニュー・接客を一新し、当時の博多ラーメン店の常識を覆すことからブランドの歴史が始まります。

ブランドデザインの視点で読み解く

誰に向けたブランドなのか

一風堂が開店当初からブレなかったのは、「ラーメンを好きな人」だけでなく「ラーメン屋には入りづらいと感じていた人」を取り込もうとしたことです。
具体的には女性やカップルでも入りやすい店を目指しました。

私たちスタジオグラムも、福岡の飲食店や小売店のブランディングに携わる中で、同じ問いに何度も向き合ってきました。


「既存のファンを大切にするか、まだ来ていない人を呼び込むか」。

一風堂は後者を選び、入りやすさを商品設計の中心に据えました。この判断が、海外での受け入れられやすさにもつながっています。

ロゴ・カラー・タイポグラフィの造形的読み解き

一風堂のロゴには、国内と海外で異なる物語があります。

創業時の店舗は、木製の看板と手染めの暖簾、木工彫刻家のアトリエを思わせる内装が特徴でした。そのデザインの根底には「木・火・土・金・水」という五行説の思想があると、公式にも紹介されています。

国内の一風堂は、この日本的な世界観を今も受け継いでいます。

一方、ローマ字表記の「IPPUDO」と家紋を思わせるシンボルマークは、2008年のニューヨーク初出店にあわせて新たに生み出されたものです。アメリカの人にも覚えやすいようにと、日本らしさを残しながらゼロから設計されたロゴでした。

つまり一風堂は、日本語の世界観をそのまま海外に持ち込んだのではなく、進出先の国に合わせてロゴという入り口だけを作り替え、味や接客の中身は変えないという二段構えの戦略を取ってきたブランドだといえます。

コンセプト・メッセージ・ブランドアイデンティティ

一風堂の代表メニューは「白丸元味」「赤丸新味」
この名前の付け方にも、ブランドの意志が現れています。

公式には「原点の一杯」である白丸元味と、「コクと深みの革新派」である赤丸新味と説明されており、守るものと新しくするものを名前だけで分けて伝えています。

この考え方は、国外展開をする際のメニュー設計にも一貫しています。現地の食材事情に合わせてレシピを微調整しながらも、「白丸・赤丸」という名前と世界観は変えていません。

現地化と一貫性の両立を、命名の工夫で実現しているのです。

顧客接点の設計

カウンター席を中心にした店構えとスタッフの活気ある接客に加え、一風堂は2008年のニューヨーク進出をきっかけに、麺をすする音を楽しみとして世界に発信する"Zuzutto(ズズット)"という取り組みを展開してきました。

スープの味、提供の早さ、器の形。
これらが国を越えて統一されているからこそ、初めてロンドンの店を訪れた人も、福岡で食べた味を思い出せる。

店舗が何百あっても、体験の一貫性がブランドを支えています。

このブランドから中小企業が学べること

一風堂が示すのは、福岡の小さな一軒店でも、設計を徹底すれば世界で通用するという事実です。規模の小ささは、ブランドの限界ではありません。

大切なのは、「どこを変え、どこを変えないか」を自分たちで決めておくことです。

一風堂は、海外進出にあたってロゴという入り口は現地向けに一新しながらも、味のレシピの核や接客のテンポ、ブランドの世界観そのものは変えていません。この線引きがあるからこそ、見た目が変わっても、ブランドの軸がブレないのです。

福岡や九州の中小企業にも、地域を超えた展開を検討する方は少なくないはずです。そのとき必要なのは、新しい市場に合わせてすべてを変えることではありません。

むしろ、自分たちのブランドの中核を見極め、そこだけは絶対に譲らないことです。今この核を言語化しておかなければ、規模を拡大するほどブランドの輪郭がぼやけてしまう可能性があります。

出典

みつける つくる そだてる
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この記事を書いた人

早野 悠

Hayano Yu

株式会社スタジオグラム 代表取締役
ブランドマネージャー認定協会トレーナー

コミュニケーションノイズを無くし、争いのない社会を目指してブランディングに取り組んでいます。福岡市を拠点に、3ステップでつくるブランディング×マーケティング手法で述べ60社をお手伝いしてきました。

好きな言葉:知足/縁起 
好きなこと:国内海外旅行/写真/温泉/散歩

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