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Minimal(ミニマル):「引き算の哲学」が生んだ、チョコレートの再定義

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Minimal(ミニマル):「引き算の哲学」が生んだ、チョコレートの再定義

こんにちは、スタジオグラムです。

チョコレートは、素材を足せば足すほど豊かになると思われてきた食品です。
ミルク、バニラ、乳化剤、様々な香料。多くのブランドが「何を加えるか」を競い合う中、真逆の発想で市場に登場したのが「Minimal(ミニマル)」です。

カカオ豆と砂糖だけ。それ以外は何も使わないという徹底した「引き算」の思想が、日本のチョコレート市場に新しい問いを投げかけました。
今回この事例を深く調べていくなかで、私たちにとっても多くの学びがありました。

Minimal(ミニマル)とは?

Minimalは、2014年12月に東京・渋谷区富ヶ谷に第一号店と工房を同時オープンさせた、日本初のBean to Bar専門店です。
コンサルタント出身の山下貴嗣氏が、世界各地のBean to Bar工房を視察したのち、わずか4ヶ月という短期間で創業しました。

「Bean to Bar」とは、カカオ豆(Bean)の選定から板チョコレート(Bar)の製造まで、すべての工程を一貫して自社で手がける製造スタイルのことです。
工場から買い付けたチョコレートを加工・販売するのではなく、カカオの産地や農家との関係から始める、いわば「一次産業に近いチョコレート製造」です。

現在は東京都内に4業態4店舗を展開しています。
運営会社は株式会社βace(ベース)。

ブランド名「Minimal」は「最小限」を意味し、この言葉がそのままブランドの哲学を体現しています。

ブランドデザインの視点で読み解く

視点1:誰に向けたブランドか

Minimalが創業した2014年当時、日本のBean to Bar市場は事実上存在していませんでした。
「専門店で高品質なチョコレートを買う」という文化が根付いていなかった時代に、Minimalは「市場をつくる」ところからブランド構築をスタートさせています。

ターゲットは、価格よりも品質と背景にあるストーリーを重視する消費者です。
ただし創業期においては、「チョコレートの新しい可能性を知りたい人」という広めの設定に近く、まず「Bean to Barとは何か」を知ってもらうための啓蒙から始める必要がありました。

この点において参考になるのが、ポジショニングの考え方です。
既存市場(板チョコレート・輸入チョコレート)の価値基準と真っ向から戦うのではなく、全く異なる評価軸——カカオ産地の個性、製造の透明性、素材の純粋さ——を新たに定義することで、比較されない立ち位置を確保しています。

私たちがクライアントのブランド支援で意識している選ばれる理由をデザインするという考え方に、非常に近い事例です。

また、Minimalは創業から2年半で約1,000媒体にメディア露出を果たしています。
これは広告費をかけた宣伝ではなく、「日本初のBean to Bar専門店」という事実そのものがニュースバリューを持っていたことによるものです。

先発として市場を定義した者が、最もメディアに取り上げられやすい——この構造を意図的に設計した戦略といえます。
誰に向けたブランドかを問う前に、「何を最初に定義するか」がいかに重要かを教えてくれる事例です。

視点2:ロゴ・カラー・タイポグラフィ

Minimalのロゴは、ブランド名のタイポグラフィと、その下部に配置された3本の横線で構成されています。
シンプルに見えてしかし、この3本線には明確な意味が込められています。

「カカオを育てる産地の生産者」「チョコレートをつくるMinimal」「それを共に楽しむお客様」——この3者の関係性がデザインに落とし込まれているのです。

「チョコレートを通じて、生産者・作り手・消費者という3つの立場が一本の線でつながっている」という世界観が、3本の線というビジュアル要素に凝縮されています。

ロゴのタイポグラフィは洗練された欧文書体をベースとしており、ブランドカラーは白と黒を基調としています。
余計な装飾を削ぎ落とした白黒の配色は、「引き算の哲学」をそのままビジュアル言語に翻訳したものといえます。

一方、個々のチョコレートパッケージはカカオの産地や品種ごとに異なる配色を採用しています。
これは「チョコレートはひとつではない」というメッセージを、パッケージの色変化で直感的に伝えるデザイン戦略です。

同じブランドロゴの下で色が変わることで、「産地の多様性」と「Minimalというブランドの一貫性」が共存しています。

ロゴや色に込められた意味を読み解くとき、デザインが単なる見た目の決定ではなく、ブランドの思想を視覚化する行為であることを改めて実感します。
Minimalのロゴデザインは、その好例のひとつです。

視点3:コンセプト・メッセージ・ブランドアイデンティティ

Minimalのブランドアイデンティティは、「引き算の哲学から生まれた、新しいチョコレートのおいしさ」という言葉に集約されています。


日本文化に根付いた「引き算の美学」——余分なものを削ぎ落とし、本質を際立てるという感性——をチョコレートという食品で体現しようとしている点が、このブランドの独自性の核心です。

さらにミッションとして「1枚のチョコレートから変えていく、100年後の未来」を掲げています。
製品の話にとどまらず、カカオ農業の持続可能性や、食の産業全体への問いかけを含んだこのメッセージは、単なるチョコレートブランドを超えた射程の広さを感じさせます。

代表の山下氏が語る「1階・2階理論」は、ブランド構築を考えるうえで示唆に富んだフレームです。
1階は「おいしさ」——製品としての根本的な品質のこと。2階は「ストーリー、デザイン、ブランドアイデンティティ」などの差別化要素のことを指します。

山下氏は「2階ばかり意識して1階を疎かにするブランドが多い」と指摘しています。
これは私たちブランド支援の現場でも感じることです。デザインやメッセージが先行して、製品・サービスの質が追いついていないケースは少なくありません。

Minimalは、国際チョコレート品評会での受賞実績が示すように、1階(製品品質)を徹底的に磨いたうえで、2階(ブランドの世界観)を構築しています。
その順序の正しさが、ブランドとしての説得力を生み出しているといえます。

視点4:顧客接点の設計

MinimalのビジネスモデルはD2C(製造直販)を基本としています。
自社工房で一貫製造し、自社店舗とオンラインショップで直接販売するこの構造は、中間流通を排除することで品質管理の主導権を保持すると同時に、顧客との直接的な関係構築を可能にします。

特筆すべきは、カカオ農家との向き合い方です。
Minimalは農家から市場価格の2〜3倍の価格でカカオを買い付けています。これは品質の高いカカオを安定的に調達するための施策であると同時に、農家の生活を支える社会的な意味合いも持ちます。

「生産者・作り手・消費者」という3者のつながりをロゴに込めたMinimalにとって、農家との関係は経営上の取引以上のものを意味しています。また、財務管理についても創業者の山下氏は「キャッシュポジションを週単位で管理する」という徹底した姿勢を持ち、創業以来赤字なしという結果につなげています。


「ディープオーシャン戦略」と山下氏が呼ぶ戦略——既存市場での売上確保と新市場開拓を並行して進める——は、スタートアップでありながら財務規律を保つための実践的な経営判断です。

店舗設計においても、工房を併設した第一号店の選択は意味深です。
製造の現場をガラス越しに見られる体験は、「どのようにして作られているか」を顧客に伝える最も直接的なコミュニケーション手段です。

製品を売る場所と、製品への信頼を育む場所を同一空間に設けることで、来店した顧客はブランドのストーリーを体感できます。

このブランドから中小企業が学べること

今回Minimalの事例を調べていく中で、私たちも改めて気づかされたことがあります。
それは「引き算」が戦略になり得るという事実です。

多くの中小企業が「何を加えるか」でブランドを考えます。
サービスを増やす、機能を追加する、価格帯を広げる。しかしMinimalは逆張りの発想で、「何を使わないか」を徹底することで唯一無二の立場を確立しました。

削ることで、残ったものの価値が際立つ——この論理は、チョコレートだけに通用する話ではありません。

「1階・2階理論」も中小企業経営者には実感を伴う言葉だと思います。
ブランド構築の相談を受けるとき、デザインやメッセージを整えることへの関心は高い一方、提供しているサービスや商品の本質的な品質を問い直す機会は少ない傾向があります。

しかし顧客が長期的に支持するのは、2階の外観ではなく、1階の品質に対してです。
Minimalがそれを証明しています。

また、先発として市場を定義することの強さも改めて考えさせられます。
既存の競合と同じ土俵で戦うのではなく、評価軸ごと変える。「Bean to Bar」という概念を日本に広めた者として、Minimalは今も市場の定義者であり続けています。

あなたの会社では、「足す」以外の選択肢を検討したことがありますか?

出典

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Minimal(ミニマル):「引き算の哲学」が生んだ、チョコレートの再定義

こんにちは、スタジオグラムです。

チョコレートは、素材を足せば足すほど豊かになると思われてきた食品です。
ミルク、バニラ、乳化剤、様々な香料。多くのブランドが「何を加えるか」を競い合う中、真逆の発想で市場に登場したのが「Minimal(ミニマル)」です。

カカオ豆と砂糖だけ。それ以外は何も使わないという徹底した「引き算」の思想が、日本のチョコレート市場に新しい問いを投げかけました。
今回この事例を深く調べていくなかで、私たちにとっても多くの学びがありました。

Minimal(ミニマル)とは?

Minimalは、2014年12月に東京・渋谷区富ヶ谷に第一号店と工房を同時オープンさせた、日本初のBean to Bar専門店です。
コンサルタント出身の山下貴嗣氏が、世界各地のBean to Bar工房を視察したのち、わずか4ヶ月という短期間で創業しました。

「Bean to Bar」とは、カカオ豆(Bean)の選定から板チョコレート(Bar)の製造まで、すべての工程を一貫して自社で手がける製造スタイルのことです。
工場から買い付けたチョコレートを加工・販売するのではなく、カカオの産地や農家との関係から始める、いわば「一次産業に近いチョコレート製造」です。

現在は東京都内に4業態4店舗を展開しています。
運営会社は株式会社βace(ベース)。

ブランド名「Minimal」は「最小限」を意味し、この言葉がそのままブランドの哲学を体現しています。

ブランドデザインの視点で読み解く

視点1:誰に向けたブランドか

Minimalが創業した2014年当時、日本のBean to Bar市場は事実上存在していませんでした。
「専門店で高品質なチョコレートを買う」という文化が根付いていなかった時代に、Minimalは「市場をつくる」ところからブランド構築をスタートさせています。

ターゲットは、価格よりも品質と背景にあるストーリーを重視する消費者です。
ただし創業期においては、「チョコレートの新しい可能性を知りたい人」という広めの設定に近く、まず「Bean to Barとは何か」を知ってもらうための啓蒙から始める必要がありました。

この点において参考になるのが、ポジショニングの考え方です。
既存市場(板チョコレート・輸入チョコレート)の価値基準と真っ向から戦うのではなく、全く異なる評価軸——カカオ産地の個性、製造の透明性、素材の純粋さ——を新たに定義することで、比較されない立ち位置を確保しています。

私たちがクライアントのブランド支援で意識している選ばれる理由をデザインするという考え方に、非常に近い事例です。

また、Minimalは創業から2年半で約1,000媒体にメディア露出を果たしています。
これは広告費をかけた宣伝ではなく、「日本初のBean to Bar専門店」という事実そのものがニュースバリューを持っていたことによるものです。

先発として市場を定義した者が、最もメディアに取り上げられやすい——この構造を意図的に設計した戦略といえます。
誰に向けたブランドかを問う前に、「何を最初に定義するか」がいかに重要かを教えてくれる事例です。

視点2:ロゴ・カラー・タイポグラフィ

Minimalのロゴは、ブランド名のタイポグラフィと、その下部に配置された3本の横線で構成されています。
シンプルに見えてしかし、この3本線には明確な意味が込められています。

「カカオを育てる産地の生産者」「チョコレートをつくるMinimal」「それを共に楽しむお客様」——この3者の関係性がデザインに落とし込まれているのです。

「チョコレートを通じて、生産者・作り手・消費者という3つの立場が一本の線でつながっている」という世界観が、3本の線というビジュアル要素に凝縮されています。

ロゴのタイポグラフィは洗練された欧文書体をベースとしており、ブランドカラーは白と黒を基調としています。
余計な装飾を削ぎ落とした白黒の配色は、「引き算の哲学」をそのままビジュアル言語に翻訳したものといえます。

一方、個々のチョコレートパッケージはカカオの産地や品種ごとに異なる配色を採用しています。
これは「チョコレートはひとつではない」というメッセージを、パッケージの色変化で直感的に伝えるデザイン戦略です。

同じブランドロゴの下で色が変わることで、「産地の多様性」と「Minimalというブランドの一貫性」が共存しています。

ロゴや色に込められた意味を読み解くとき、デザインが単なる見た目の決定ではなく、ブランドの思想を視覚化する行為であることを改めて実感します。
Minimalのロゴデザインは、その好例のひとつです。

視点3:コンセプト・メッセージ・ブランドアイデンティティ

Minimalのブランドアイデンティティは、「引き算の哲学から生まれた、新しいチョコレートのおいしさ」という言葉に集約されています。


日本文化に根付いた「引き算の美学」——余分なものを削ぎ落とし、本質を際立てるという感性——をチョコレートという食品で体現しようとしている点が、このブランドの独自性の核心です。

さらにミッションとして「1枚のチョコレートから変えていく、100年後の未来」を掲げています。
製品の話にとどまらず、カカオ農業の持続可能性や、食の産業全体への問いかけを含んだこのメッセージは、単なるチョコレートブランドを超えた射程の広さを感じさせます。

代表の山下氏が語る「1階・2階理論」は、ブランド構築を考えるうえで示唆に富んだフレームです。
1階は「おいしさ」——製品としての根本的な品質のこと。2階は「ストーリー、デザイン、ブランドアイデンティティ」などの差別化要素のことを指します。

山下氏は「2階ばかり意識して1階を疎かにするブランドが多い」と指摘しています。
これは私たちブランド支援の現場でも感じることです。デザインやメッセージが先行して、製品・サービスの質が追いついていないケースは少なくありません。

Minimalは、国際チョコレート品評会での受賞実績が示すように、1階(製品品質)を徹底的に磨いたうえで、2階(ブランドの世界観)を構築しています。
その順序の正しさが、ブランドとしての説得力を生み出しているといえます。

視点4:顧客接点の設計

MinimalのビジネスモデルはD2C(製造直販)を基本としています。
自社工房で一貫製造し、自社店舗とオンラインショップで直接販売するこの構造は、中間流通を排除することで品質管理の主導権を保持すると同時に、顧客との直接的な関係構築を可能にします。

特筆すべきは、カカオ農家との向き合い方です。
Minimalは農家から市場価格の2〜3倍の価格でカカオを買い付けています。これは品質の高いカカオを安定的に調達するための施策であると同時に、農家の生活を支える社会的な意味合いも持ちます。

「生産者・作り手・消費者」という3者のつながりをロゴに込めたMinimalにとって、農家との関係は経営上の取引以上のものを意味しています。また、財務管理についても創業者の山下氏は「キャッシュポジションを週単位で管理する」という徹底した姿勢を持ち、創業以来赤字なしという結果につなげています。


「ディープオーシャン戦略」と山下氏が呼ぶ戦略——既存市場での売上確保と新市場開拓を並行して進める——は、スタートアップでありながら財務規律を保つための実践的な経営判断です。

店舗設計においても、工房を併設した第一号店の選択は意味深です。
製造の現場をガラス越しに見られる体験は、「どのようにして作られているか」を顧客に伝える最も直接的なコミュニケーション手段です。

製品を売る場所と、製品への信頼を育む場所を同一空間に設けることで、来店した顧客はブランドのストーリーを体感できます。

このブランドから中小企業が学べること

今回Minimalの事例を調べていく中で、私たちも改めて気づかされたことがあります。
それは「引き算」が戦略になり得るという事実です。

多くの中小企業が「何を加えるか」でブランドを考えます。
サービスを増やす、機能を追加する、価格帯を広げる。しかしMinimalは逆張りの発想で、「何を使わないか」を徹底することで唯一無二の立場を確立しました。

削ることで、残ったものの価値が際立つ——この論理は、チョコレートだけに通用する話ではありません。

「1階・2階理論」も中小企業経営者には実感を伴う言葉だと思います。
ブランド構築の相談を受けるとき、デザインやメッセージを整えることへの関心は高い一方、提供しているサービスや商品の本質的な品質を問い直す機会は少ない傾向があります。

しかし顧客が長期的に支持するのは、2階の外観ではなく、1階の品質に対してです。
Minimalがそれを証明しています。

また、先発として市場を定義することの強さも改めて考えさせられます。
既存の競合と同じ土俵で戦うのではなく、評価軸ごと変える。「Bean to Bar」という概念を日本に広めた者として、Minimalは今も市場の定義者であり続けています。

あなたの会社では、「足す」以外の選択肢を検討したことがありますか?

出典

制作の内容についてはこちらをご覧ください。

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