「前任の担当者がいないと、ロゴの使い方が分からない」を防ぐには。

「担当していたデザイナーさんが変わってから、ロゴの色が微妙に違う気がするんです」
こんなご相談を受けることがあります。よく聞いてみると、ロゴの正しい色や余白の取り方、使ってはいけない配置などが、誰か一人の頭の中にしか残っていなかった、ということがよくあります。今日は、こうした「ブレ」を防ぐためのブランドガイドライン(ブランドブック)という考え方についてお伝えします。
ブランドガイドラインとは何か
ブランドガイドラインとは、簡単に言うと「自社のロゴやデザインを、誰が使っても同じように扱えるようにするためのルールブック」です。ロゴの正しい色の数値、最小サイズ、周囲に確保すべき余白、使ってはいけないNG例、ブランドカラーの組み合わせ方などを、一つの資料にまとめたものを指します。
大企業ではよく整備されているイメージがあるかもしれませんが、実は中小企業こそ、このルールが曖昧なまま運用されているケースが多く見られます。担当者が変わるたびに、あるいは依頼する制作会社が変わるたびに、少しずつロゴやカラーの扱いが変わってしまう——これは、私たちが日々の相談の中でよく目にする光景です。
なぜルールがないと「ブレ」が起きるのか
ロゴマークやブランドカラーには、それぞれ込められた意味があります。その意味を保ったまま使い続けるためには、正確なルールが必要です。ロゴやカラーに込める意味については、こちらの記事で詳しく解説しています。
[ロゴを変えるだけでは会社は変わらない|リブランディングの正しい順番]
ところが、意味を込めてつくったロゴでも、担当者の感覚だけで運用されると、少しずつ本来の姿から離れていってしまいます。名刺ではこの色、封筒では別の色、WEBサイトではまた違う色——。こうした小さなズレが積み重なることで、お客様の記憶の中での会社の印象が薄まってしまうのです。
ブランドガイドラインに最低限含めておきたい項目
私たちが中小企業の経営者の方にご提案する際、まず次の項目から整理することをおすすめしています。
ロゴマークの正しい形・比率・最小サイズ
ロゴの周囲に確保すべき余白のルール
ブランドカラーの正確な数値(印刷用・WEB用それぞれ)
ロゴを使ってはいけない背景色や配置のNG例
フォント(書体)の指定
最初からすべてを網羅した分厚い資料をつくる必要はありません。まずはこの5項目を1枚のシートにまとめるだけでも、社内外での運用のブレは大きく減ります。
ガイドラインは「つくる」の仕上げであり「そだてる」の土台

ブランドガイドラインは、ロゴやカラーといった「つくる」フェーズの成果物を、社内外で正しく「そだてる」ためのつなぎ役だと私たちは考えています。せっかく意味を込めてつくったデザインも、運用ルールがなければ、時間の経過とともに少しずつ本来の意図から離れていってしまいます。
すでにロゴを見直すタイミングにある方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
こんな会社は、特にガイドラインを整えておくべき
複数の制作会社やフリーランスに、案件ごとに依頼することがある
支店や複数店舗があり、それぞれで販促物をつくることがある
事業承継や組織の世代交代が近く控えている
新しく採用した社員が、SNSやチラシなどのデザインを担当することがある
特に事業承継のタイミングでは、先代の頃から使ってきたロゴやカラーの「意味」が、口伝えのまま次の世代に引き継がれず失われてしまうケースが少なくありません。ルールとして残しておくことは、会社の資産を次の世代に正しく引き継ぐことにもつながります。
ルールは「縛るため」ではなく「守るため」にある
最後に一つだけ誤解を解いておきたいのですが、ブランドガイドラインは、デザインの自由度を奪うための堅苦しいルールではありません。むしろ、時間をかけて積み上げてきた会社の印象を、次に関わる誰もが壊さずに扱えるようにするための「守り方」を示したものです。ルールがあることで、担当者は安心してデザインの実務に集中でき、経営者はブレのない一貫した印象を、お客様に届け続けることができます。
自社の「選ばれる理由」を、ロゴやカラーにどう込め、どうルール化して育てていくのか。その全体像を、無料の小冊子「みつける、つくる、そだてる|お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。」にまとめています。ぜひ一度お手に取ってみてください。

