ロゴを見せた瞬間、社長が黙り込んだ理由。

「このロゴ、なんかしっくりこないんですよね・・・」
打合せの席で、経営者の方からよくいただく言葉です。デザイナーに何度も修正を依頼しても、なぜか納得できない。かといって、どこがダメなのか自分でも説明できない——。
こういうご相談をいただくたびに、私たちは同じことをお聞きします。
「そのロゴに、何を込めたいですか?」
多くの場合、この質問に即答できる経営者は多くありません。それもそのはずで、ロゴは「デザインの好み」で選ぶものだと思われがちだからです。でも私たちは、ロゴマークを「会社の顔」ではなく「選ばれる理由をカタチにしたもの」だと捉えています。今日は、その考え方を分かりやすくお伝えします。
ロゴは「好き嫌い」で決めるものではない
まず大前提として、ロゴマークのデザインを「かっこいいかどうか」「おしゃれかどうか」だけで判断してしまうと、多くの場合うまくいきません。
なぜなら、ロゴは経営者ひとりの持ち物ではなく、社員が名刺で見せ、お客様がホームページで目にし、取引先が請求書で確認する、会社全体の「共通言語」だからです。デザイナーの個人的なセンスや、経営者の主観だけで決めてしまうと、社内外でその意図が伝わらず、結局「なんとなく変えた」で終わってしまいます。
私たちが大切にしているのは、ロゴをつくる前に「何を込めるべきか」を先に言語化することです。これは私たちが「みつける」と呼んでいる工程で、お客様のこと・競合他社のこと・自社のことを整理し、自社が「選ばれる理由」をはっきりさせる作業にあたります。この土台がないままロゴだけを新しくしても、見た目は変わっても中身が変わらない、ということが起きてしまいます。この工程についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
[B.I.(ブランドアイデンティティ)とは?「つくる」の最初の一歩]
ロゴに込める「意味」は、大きく3つに分けられる
では実際に、ロゴにはどんな意味を込めるとよいのでしょうか。私たちは経営者の方とお話しするとき、次の3つの切り口で整理することが多いです。
1:事業の中身を表す意味
何を扱う会社なのか、どんな技術や強みを持っているのかを、形や色でそれとなく示す考え方です。たとえば建築やエクステリアに関わる事業なら、直線や角度で「堅実さ」や「構造」を連想させることができますし、対人サービスであれば、柔らかい曲線で「安心感」を伝えることもできます。
2:創業の想いや歴史を表す意味
社名の由来や、創業時のエピソード、代々受け継いできた価値観をモチーフに落とし込む考え方です。ロゴマークに込められた意味を社員が語れるようになると、それ自体が採用や商談の場での「らしさ」を伝える材料になります。
3:これから目指す姿を表す意味
現在の姿だけでなく、5年後・10年後にどうありたいかを先取りして表現する考え方です。会社が成長・変化していく途中でも、ロゴが「目指す方向性」を体現していれば、社内の判断基準としても機能します。
どれか一つが正解というわけではなく、この3つのバランスをどう取るかを、経営者と一緒に考えていくのが私たちの役目だと思っています。
よくある失敗パターン
ここで、実際によくご相談いただく失敗のパターンを2つご紹介します。
一つ目は、「流行りのデザインをそのまま採用してしまう」パターンです。シンプルなロゴやミニマルなロゴが流行ると、内容を問わずそのテイストに寄せてしまうケースがあります。しかし、流行はいずれ移り変わりますし、何より自社の「選ばれる理由」と結びついていなければ、ただの記号になってしまいます。
二つ目は、「社内の多数決で決めてしまう」パターンです。ロゴは関わる人が多いほど「みんなが少しずつ好きな要素」を寄せ集めたデザインになりがちで、結果的に誰の心にも強く残らないものになってしまうことがあります。デザインの意思決定については、こちらの記事でも触れていますので参考にしてみてください。
[ロゴを変えるだけでは会社は変わらない|リブランディングの正しい順番]
ロゴをつくる前に、経営者が準備しておきたいこと
もしこれからロゴマークを新しくつくる、あるいは見直すご予定があるなら、デザインの相談をする前に、次の3つを自分の言葉で整理しておくことをおすすめします。
自社は、お客様にとって「他社ではなく自社」を選ぶ理由をどう説明できるか
創業の経緯や、大切にしてきた価値観の中で、特に伝えたいエピソードは何か
これから3〜5年で、会社をどんな姿に育てていきたいか
この3つが明確であればあるほど、デザイナーとの打合せもスムーズになりますし、出来上がったロゴに対して「なんかしっくりこない」という違和感も生まれにくくなります。
ロゴは「つくって終わり」ではなく、育てていくもの
最後にもう一つ大切な視点をお伝えします。ロゴマークは完成した瞬間がゴールではありません。名刺、封筒、WEBサイト、SNS、社員の制服やお店の看板など、あらゆるタッチポイントで繰り返し使われることで、少しずつお客様の記憶に定着していきます。これが私たちの言う「そだてる」というフェーズです。せっかく意味を込めてつくったロゴも、使う場面がバラバラだったり、色やサイズのルールが曖昧だったりすると、その意味が伝わりにくくなってしまいます。この点については、また別の記事で詳しくお伝えしたいと思いますね。

会社の「選ばれる理由」をどう見つけ、ロゴやデザインにどう落とし込んでいくのか。その全体像を、無料の小冊子「みつける、つくる、そだてる|お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。」にまとめています。ロゴやデザインの見直しを考え始めた方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。

