老舗企業・伝統産業がブランディングで新規顧客を獲得する方法

「先代から受け継いだ看板を大切にしたい。でも、今のままのやり方では、若いお客様には届かない気がしています。」
創業から何十年と続く会社の後継の方から、こうした声をよく伺います。伝統を守りたい気持ちと、時代に合わせて変わらなければという焦り。この二つの間で揺れるのは、決して珍しいことではありません。今日は、老舗企業や伝統産業が新しい顧客層を獲得していくための、基本的な考え方を整理してみたいと思います。
「伝統を守る」と「変わらない」は同じではない
老舗企業のブランディングでまず整理していただきたいのが、「伝統を守ること」と「今までのやり方を変えないこと」は、まったく別の話だという点です。
多くの老舗企業が苦しくなる原因は、扱っている技術や姿勢そのものが古いからではなく、その価値の「伝え方」が時代に合っていないことが多々あります。中身は素晴らしいのに、伝わっていない。これはとてももったいない状態です。
私たちの独自メソッドでは、ブランドづくりを「みつける」「つくる」「そだてる」の3ステップで考えます。老舗企業のリブランディングにおいて特に重要なのは、最初の「みつける」の工程です。長い歴史の中で積み重ねてきた技術やこだわりの中から、今の時代にも通用する「本質的な価値」を、あらためて言語化し直す作業が欠かせません。

一般的な事例に見る、リブランディングの考え方
これはスタジオグラムの実績ではなく、一般的によく知られている業界の事例としてご紹介するのですが、奈良県の老舗企業が、後継者への代替わりを機に、それまで漠然としていた自社の存在意義を「日本の工芸を元気にする」という明確な言葉に掲げ直し、店舗展開や商品開発を進めていった、という話があります。
ここで注目していただきたいのは、変えたのが「扱っている素材や技術」ではなく、「その価値をどう定義し、どう伝えるか」という部分だった、という点です。伝統的な技術や素材そのものを守りながら、それを届ける言葉やお客様との接点だけを、今の時代に合わせて刷新した。これが、老舗企業のリブランディングにおける一つの型だと私たちは捉えています。
数値や成果の大きさは会社によってさまざまですし、断定的にお伝えできるものではありませんが、「守るものと変えるものを切り分ける」という考え方自体は、規模を問わず参考にしていただけるはずです。
新規顧客に届けるために整理したい3つの視点
1. 今の顧客と、これから欲しい顧客は違うと認める
長年の顧客との関係性は、何より大切な財産です。しかし、新しい顧客層を獲得したいのであれば、その方たちが普段どこで情報を得て、何に価値を感じているのかを、あらためて見直す必要があります。既存のやり方の延長線上だけでは、新しい層には届きにくいものです。
2. 「なぜ今も続けているのか」を言葉にする
創業からの年数そのものよりも、「なぜそれだけの間、その仕事を続けてこられたのか」というストーリーのほうが、新しいお客様の心を動かします。創業ストーリーの言語化については[経営者が語るべき「創業ストーリー」の作り方]でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
3. 接点を今の時代に合わせて増やす
どれだけ良い価値を持っていても、それが届く接点が限られていては、新しい顧客に出会う機会自体が生まれません。ホームページやSNS、地域のイベントなど、これまで使ってこなかった接点にも、少しずつ挑戦してみることをおすすめします。
地方の老舗企業だからこそ持てる強み
老舗企業や伝統産業は、大手にはない「歴史」と「地域とのつながり」という、簡単には真似できない資産を持っています。これは、全国区のブランドと同じ土俵で戦おうとするのではなく、地域に根ざした独自のポジションを築くうえで、大きな武器になります。この考え方については[地方企業が全国区のブランドと戦うための考え方]でも詳しくお話ししていますので、ぜひあわせてお読みください。
また、リブランディングを進める際の具体的な手順については[ロゴを変えるだけでは会社は変わらない|リブランディングの正しい順番]もご参考になるかと思います。
まとめ:守るものを決めてから、変えていく
老舗企業のブランディングは、ゼロから何かをつくる作業ではなく、すでにある価値を「見つけ直し」、時代に合った形で「伝え直す」作業です。何を守り、何を変えるのか。その線引きさえ明確になれば、伝統は決して足かせにはならず、むしろ新しいお客様に選ばれるための強みに変わっていきます。
私たちスタジオグラムも、福岡市内で事業を続けてこられた企業様の「守るべきもの」と「変えるべきもの」を、一緒に整理させていただいています。
無料小冊子「みつける、つくる、そだてる|お客様に選ばれ、愛され続けるブランドづくりの方程式。」では、こうした価値の見つけ直し方について詳しく解説しています。ご興味のある方は、以下からダウンロードしてご覧ください。
制作の内容についてはこちらをご覧ください。
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